キャンプギア

5万円の大型テント、中国ではいくら?工場原価だけでは分からない価格の裏側

こんな方におすすめ

  • 防災用として大型テントの購入を考えている人
  • 3万円、5万円、10万円のテントの違いが分からない人
  • 安い防災用品を買って大丈夫なのか不安な人

ネットショップを見ていると、大型テントの価格にはかなり差があります。

似たような大きさなのに、2万円台の商品もあれば5万円、10万円を超える商品もあります。

すると、

「これ、中国ではいくらで作っているんだろう?」

と思う人もいるでしょう。

実際、中国の工場や卸売市場を見ると、日本の販売価格よりかなり安い金額が提示されている商品は珍しくありません。

ただし、ここで注意したいのが、

中国工場の提示価格=日本で販売する商品の原価

ではないということです。

 

筆者はこれまで中国輸入や国際物流に関わってきましたが、中国製品を見るときは「工場からいくらで買えるか」だけでなく、

日本に到着するまでに何が必要なのかを見る必要があります。

特にテントは、生地、フレーム、縫製、梱包などによって重量も容積も大きく変わります。

防災用品として考えるのであれば、単純な安さだけを見るのは少し危険です。

今回は「日本で5万円程度で売られている大型テント」を例に、中国側の価格と日本での販売価格の間に何があるのかを考えてみます。

 

1.5万円のテントが中国で5万円するわけではない

中国から商品を仕入れた経験がない人が最初に驚くのが、現地価格と日本での販売価格の差です。

例えば日本で5万円程度で販売されているテントだからといって、中国工場から4万円で仕入れているとは限りません。

仕様や発注数量によっては、それよりかなり低い価格で提示されることがあります。

ただし、ここで「中国ではこんなに安い。日本の販売会社はぼったくっている」と考えるのは早計です。

工場価格には通常、日本国内で販売するまでのすべての費用が含まれているわけではありません。

商品代金のほかに、

国際輸送費、輸入通関に関係する費用、国内配送費、倉庫費、検品費、梱包費、販売サイトの手数料、広告費、

返品・交換に備えるコストなどが発生します。

 

さらにテントは、スマートフォンケースや小型雑貨のような商品とは違います。

畳んだ状態でも大きく、重量もあります。

中国での商品価格が安くても、日本まで運ぶと物流費の比率が高くなる商品です。

つまり、中国工場の価格だけを見て、

「原価5,000円の商品を5万円で売っている」

と単純計算することはできません。

 

2.同じ見た目でも工場価格が違う理由

中国製テントを見るときに非常に重要なのが、

外見が似ていても中身まで同じとは限らない

ということです。

商品画像だけを見ると、ほとんど同じテントに見えることがあります。

しかし工場側の仕様を見ると、生地の厚さ、ポールの材質や直径、ファスナー、縫製、防水加工、ペグ、ロープなどが

違っていることがあります。

例えば、

「もう少し安くできませんか?」

と工場に交渉した場合、単純に工場側の利益だけを削ってくれるとは限りません。

生地を変更する。

ポールを細くする。

付属品を安いものにする。

梱包を簡素化する。

検品工程を減らす。

こうした仕様変更によって価格を下げる方法もあります。

 

もちろん、中国製だから品質が悪いという話ではありません。

中国には非常に高品質なアウトドア用品を製造できる工場もあります。

問題なのは、どの仕様で発注した商品なのかが消費者からは分かりにくいことです。

同じ中国工場でも、発注者が求める価格と仕様によって出来上がる製品は変わります。

だからこそ、「中国製」「日本ブランド」という表示だけでは品質を判断できません。

 

3.大型テントほど「送料」が原価を押し上げる

大型テントで見落とされやすいのが物流費です。

国際輸送では重量だけでなく、荷物の大きさも重要になります。

テント本体だけならそれほど重くなくても、フレームやポールが加われば重量は増えます。

さらに箱が大きければ、輸送効率も悪くなります。

中国国内で工場から港まで運ぶ費用。

中国から日本までの国際運賃。

通関後に倉庫まで運ぶ費用。

さらに購入者の自宅まで配送する費用。

大型商品では、この物流部分が無視できません。

 

しかも通販の場合、返品が発生すると大変です。

小型商品なら数百円で返品できても、大型テントなら返送費だけでも大きな負担になります。

販売会社としては、不良品や返品の発生率もある程度見込んで販売価格を設定する必要があります。

つまり、大型テントは「中国で安く作れるから日本でも安く売れる」とは限らない商品なのです。

 

4.防災用なら「最安値」だけで選ばない

キャンプで年に数回使用するテントと、災害時の避難場所として使うテントでは求める条件が少し違います。

災害時には、

雨が降るかもしれません。

強い風が吹く可能性もあります。

数日間連続して使用することも考えられます。

避難用品や着替えなど大量の荷物を内部に置く可能性もあります。

このような用途では、「とりあえず設営できる」というだけでは不十分です。

防水性能、フレーム強度、縫製、換気、出入口、床面なども確認したいところです。

 

特に価格だけを下げた商品では、普段は気にならない部分が災害時に問題になる可能性があります。

もちろん、高いテントなら必ず安全というわけでもありません。

重要なのは価格ではなく、

その価格差がどの仕様の違いから生まれているのか

を見ることです。

 

5.見るべきなのは「中国原価」より仕様

「このテント、中国ではいくらなのか?」

という疑問は、中国輸入を知るうえでは非常に面白いテーマです。

しかし防災用品として購入するのであれば、本当に見るべきなのは工場価格そのものではありません。

生地は何を使っているのか。

ポールはどの程度の強度なのか。

縫製部分は補強されているのか。

防水処理はどうなっているのか。

どの程度の使用環境を想定して設計されているのか。

こちらの方が重要です。

 

1万円安いテントを買って、災害時に使えなければ意味がありません。

反対に、必要以上に高級なアウトドアテントを防災用として購入する必要もないでしょう。

用途と仕様を見ながら、どこまでの性能が必要なのかを判断することが重要です。

まとめ

日本で販売されている大型テントを見ると、「中国ではかなり安く作っているのでは」と感じることがあります。

実際、工場出荷価格と日本での販売価格には大きな差が出る場合があります。

しかし、その差がすべて販売会社の利益というわけではありません。

国際輸送、通関、国内配送、倉庫、検品、販売手数料、返品対応など、商品が中国工場から日本の購入者に届くまでには

さまざまなコストが発生します。

そして防災用テントの場合、さらに重要なのが価格の裏側にある「仕様」です。

 

安くするために何を変えたのか。

生地なのか。

フレームなのか。

縫製なのか。

付属品なのか。

ここまで見ると、同じように見えるテントの価格差にも理由が見えてきます。

次回はもう一歩踏み込み、

「安いテントはどこを削っているのか」

を、生地・ポール・ファスナー・縫製・防水加工などの具体的な部分から見ていきます。

-キャンプギア