こんな方におすすめ
- 車中泊・防災キャンプを実践的に学びたい人
- 「逃げる勇気」を持つための判断基準を知りたい人
- 車を持っており、家族での防災を見直したい人
日本は、地震・台風・豪雨・豪雪といった自然災害が多発する「災害大国」です。
毎年どこかで被害が起き、ニュースで見るたびに胸が痛みますが、いざ自分の地域で起きると、現実感のないまま“動けない”人が多いのも事実です。
僕自身も、小さい頃に台風での停電・断水を経験し、社会人になってからは東京での大雪による交通麻痺を体験しました。
この記事では、その実体験をもとに、「災害が起きたとき、私たちはどう動くべきか」「どんな備えが、いざというときに役立つのか」
について、車中泊を軸にした現実的な対応法をお話しします。
目次
災害は“非日常”ではなく、“いつか来る日常”
多くの人が「自分は大丈夫」と思い込みがちですが、
日本に住んでいる限り、災害はいつか必ずどこかで自分に降りかかる現実です。
僕が最も印象に残っている災害は、小学校低学年のときに経験した大型台風。
当時はまだSNSもなければ防災アプリもない時代。気づけば暴風が吹き荒れ、停電・断水が一週間続きました。
家の屋根は飛ばされ、車庫のトタンが道に散乱し、地域全体が混乱状態でした。
それでも地域の大人たちは一致団結し、倒れた木を片付けたり、水道車で水を汲みに行ったりしていました。
子どもながらに「大人が頼もしい」と感じた一方で、自然の力に抗えない恐怖も強く記憶に残っています。
この経験から学んだのは、
「災害は、起きてからでは遅い」
ということ。
備えをしていなくても何とかなる──そう考える人ほど、現実を直視できず被害を拡大させてしまいます。
日常の延長線上に“災害の日常”がある、という感覚を持つことが、初動の早さを生みます。
雪害も“立派な災害”──東京での大雪体験
大学時代、東京で暮らしていたときに、20〜30センチの雪が一晩で積もりました。
東京では珍しい大雪で、通学もままならず、道路にはスリップした車が放置され、転倒で救急搬送される人が続出。
僕の地元・山口県も温暖な瀬戸内気候なので、雪はすぐ溶けるのが普通です。
そのため、東京の雪を初めて見たときは正直ワクワクしました。
しかし現実は甘くなく、公共交通機関は麻痺、バスもストップ、歩くことすら危険。
「雪=楽しい」ではなく「雪=怖い」と感じた瞬間でした。
特に、雪に慣れていない地域では“油断”が一番危険です。
たとえ数センチの積雪でも、車が滑りやすく、歩行者も転倒します。
たった数時間の雪でも、人命を奪うことがある。
そう考えると、雪害も立派な災害です。
豪雪地域の人たちにとっては「毎年のこと」でも、他の地域では大事件。
つまり、災害の定義は「その人にとっての非日常」であるということ。
防災とは、“慣れていないこと”に備えることなのです。
最悪の事態を避けるには、“逃げる”という判断が命を守る
災害時に最も難しいのが、「逃げる判断」です。
ニュースで「避難が遅れて命を落とした」と聞くたびに心が痛みますが、
人間は“経験したことがないこと”に対して、危機感を持ちにくい生き物です。
「まだ大丈夫」
「うちは川から離れているから平気」
「すぐに止むだろう」
そう思っているうちに、状況はあっという間に悪化します。
僕はこう考えています。
“逃げる”とは、臆病ではなく、生きるための戦略。
災害が起きたときは、「後悔しない行動」を優先するべきです。
雨が強くなり始めた時点で車に避難する。
夜になる前に安全な場所へ移動する。
迷ったら「逃げる」を選ぶ。
これは簡単なようで、実際は非常に難しい。
なぜなら、逃げるには「仕事を休む」「家を離れる」「周囲に心配される」といった心理的な抵抗があるからです。
でも、命を失ってからでは何も守れません。
日本の道路網は非常に整備されており、車さえ動けば数時間で安全圏まで行けます。
車=命を運ぶ道具と考え、災害時こそその力を最大限に活用すべきだと思います。
車中泊は“非常時の避難所”になり得る
僕はこれまでに50回以上、車中泊を経験してきました。
趣味の延長で始めた部分もありますが、結果的に“防災訓練”になっていたと感じます。
車中泊のメリットは、「安全な空間を自分で確保できる」こと。
避難所が満員でも、周囲に感染症リスクがあっても、車があれば自分たちだけの空間を作れます。
特に家族連れや高齢者にとっては、プライバシーを保てるのは大きな安心材料です。
ただし、長期間の車中泊は体調面でリスクもあります。
長時間同じ姿勢でいることで起こるエコノミー症候群、
血流悪化によるむくみ、腰痛、運動不足などが代表的です。
これを防ぐには:
-
2〜3時間おきに外へ出てストレッチをする
-
飲み水を十分に用意する(1人1日3リットル目安)
-
シートをフラットにして足を伸ばす
-
夏場はサンシェードと小型扇風機、冬場は寝袋と断熱マットを活用
さらに、**「どこで車中泊できるか」**を平時にリストアップしておくことも重要です。
道の駅、サービスエリア、トラックステーション、公園の臨時駐車場など。
あらかじめルートと停車ポイントを把握しておけば、緊急時の判断が格段に早くなります。
災害時の車中泊は“過酷”に思えるかもしれませんが、
裏を返せば「動ける避難所」です。
電源も照明も、食料も少しずつ工夫すれば確保できる。
一晩過ごすだけなら、命を守る最強の選択肢になり得ます。
車中泊を「命を守る防災ライフ」として捉える
車中泊は、決してサバイバルだけの話ではありません。
むしろ、**「心を保つ避難」**としての役割が大きいと感じています。
災害時は、避難所のストレスやプライバシー問題が大きな課題です。
小さな子どもが泣く、周囲に気を使う、夜眠れない……。
そんな状況でも、車内であれば家族だけの空間があり、
子どもに安心感を与えることができます。
また、普段から「キャンプ気分で防災を楽しむ」意識を持つと、
非常時でも前向きに動けるようになります。
防災は“苦しい準備”ではなく、“安心を作る習慣”なのです。
まとめ
災害は「もしも」ではなく「いつか」です。
準備がある人とない人では、命の確率がまったく違います。
「逃げる勇気」と「動ける準備」。
この2つを持つことが、最も現実的な防災です。
車中泊はその中で、命をつなぐ強力な手段になります。
「移動できる家」として、
そして「家族を守る避難所」として、
普段から意識しておくことで、
いざというときに“迷わず動ける人”になれるでしょう。