車中泊

災害時の車中泊で「平らな駐車場」を選んではいけないケース|水は低い場所に集まる現実。

こんな方におすすめ

  • 車中泊するなら広くて平らな駐車場が安全だと思っている人
  • 車中泊用の寝床だけでなく、駐車場所まで考えておきたい人
  • 豪雨や台風のときに車で避難する可能性がある人

 

 

車中泊をするとき、できるだけ平らな場所を探す。

これは普段の車中泊ならかなり重要です。

車が傾いていると眠りにくい。

身体が片側へ寄る。

荷物が動く。

車内で飲み物を置きにくい。

そのため、

「広くて平らな駐車場」

を見ると、車中泊に向いているように感じます。

 

ところが豪雨や台風など、水害の可能性がある災害時には話が変わります。

問題になるのは、

「平らかどうか」

ではなく、

「周囲より低い場所ではないか」

です。

一見すると使いやすそうな大型駐車場でも、周辺より土地が低ければ雨水が集まる可能性があります。

近くに川がある。

水路がある。

道路より駐車場が低い。

地下へ下がる構造になっている。

こうした場所では、普通の車中泊とは全く違う視点が必要になります。

 

災害時の車中泊では、

眠りやすい場所を探す前に、

「ここに水が来ないか」

を考えなければなりません。

今回は、なぜ災害時には「平らで広い駐車場」だけを条件に場所を決めてはいけないのかを考えます。

 

「平らで広い」は車中泊向きでも、水害に強いとは限らない

通常の車中泊なら、

傾斜が少ない。

駐車スペースが広い。

トイレが近い。

出入りしやすい。

こうした場所はかなり使いやすいでしょう。

しかし災害時には、優先順位を変える必要があります。

例えば大きな商業施設の駐車場。

広い公園の駐車場。

河川敷。

公共施設の駐車場。

道の駅。

見た目だけなら、車を止めやすい場所です。

 

ところが、その場所が周囲より低ければ、大雨によって水が流れ込む可能性があります。

特に注意したいのが、

「駐車場そのものが平らだから安心」

と考えてしまうことです。

水は駐車枠の白線を見て流れるわけではありません。

周囲の高低差に沿って移動します。

駐車している場所の少し先に坂がある。

道路から駐車場へ下っている。

周囲の建物より敷地が低い。

こうした地形なら、その広い平面自体が水の集まる場所になることがあります。

夜で周囲が見えにくい場合は、さらに判断が難しくなります。

最初は単なる水たまりだった。

しばらくするとタイヤの周辺まで水が増えた。

その頃には駐車場出口にも水が集まっている。

 

こうなると、

「危なくなったら車で逃げればいい」

という考え方まで成立しなくなる可能性があります。

車中泊の快適さだけを考えれば平らな場所は魅力的です。

しかし水害時には、

平坦さよりも土地全体の位置を見る。

この視点が必要になります。

 

河川・水路・アンダーパス・地下に近い場所は特に慎重に見る

駐車場所を選ぶときは、その駐車場だけを見るのでは足りません。

周囲に何があるのかも重要です。

例えば、

川。

用水路。

排水路。

アンダーパス。

地下駐車場。

低くなった道路。

こうした場所です。

晴れているときには何の問題もなく使える場所でも、大量の雨が降ったときには条件が変わります。

特に河川敷は分かりやすい例です。

広い。

平ら。

車を止めやすい。

周囲に建物が少ない。

普段なら車中泊に向いているようにも見えます。

 

しかし大雨時に河川の水位が上がる状況では、その特徴は安全性とは別問題です。

また住宅街でも注意が必要です。

近くに川が見えないから、水害とは関係ないとは限りません。

短時間に大量の雨が降れば、排水が追いつかず道路や敷地に水がたまる場合があります。

さらに危険なのが、

「ここなら屋根があるから雨を避けられる」

と地下駐車場へ入ることです。

雨に濡れないことと、浸水に強いことは全く違います。

地下や周囲より低い場所へ一度水が流れ込むと、車を動かす判断が遅れる可能性があります。

災害時の駐車場所では、

目の前の雨を防げるか。

車内で快適に寝られるか。

だけでなく、

周囲から水がどちらへ流れてくるのか。

を見る必要があります。

 

車を止める前にハザードマップを見る習慣をつける

災害時に知らない場所へ車を移動させる場合、

「空いている駐車場を見つけたからここでいい」

という判断だけでは不十分です。

スマートフォンが使える状況なら、先に確認したいのがハザードマップです。

確認するのは、

洪水。

内水氾濫。

高潮。

津波。

土砂災害。

など、その地域で想定される災害です。

ここで大切なのは、

「この駐車場は避難場所として使えそう」

と自分で決めないことです。

学校。

公園。

公共施設。

大型駐車場。

一見すると避難できそうな場所でも、災害の種類によって適切な場所は変わります。

 

例えば洪水には対応していても、土砂災害では安全とは限らない。

地震時には使えても、津波時には別の場所へ移動する必要がある。

ということがあります。

指定緊急避難場所も災害の種類ごとに指定されています。

そのため車中泊避難を考えるなら、

「車を止められる場所」

を探すだけではなく、

「今回の災害から逃げる場所として適切なのか」

まで確認する必要があります。

普段から自宅周辺について、

どこが低いのか。

どこに川があるのか。

どこが浸水想定区域なのか。

どこに指定緊急避難場所があるのか。

を一度見ておくだけでも違います。

大雨が始まってから初めて調べるより、平常時に候補をいくつか把握しておいた方が判断しやすくなります。

 

「少しでも高い場所へ行けばいい」と単純化しない

水害対策というと、

「高い場所へ行けばいい」

と考えやすくなります。

方向性として高さは重要ですが、車中泊避難ではそれだけで場所を選ぶのも危険です。

例えば高い場所を求めて山側へ移動した結果、

崖の近く。

急斜面の下。

土砂災害の危険がある道路。

細い山道。

に入ってしまえば、別のリスクが生まれます。

また高台へ向かう途中の道路が冠水する可能性もあります。

 

災害時には、

洪水だけ。

土砂災害だけ。

地震だけ。

と一つの危険しか存在するとは限りません。

そこで重要なのが、

「高そうな場所を自分で探す」

より、

災害の種類に応じた避難場所と避難経路を事前に確認することです。

車で移動する場合も同じです。

どこへ行くか。

どの道を使うか。

その道が浸水しそうではないか。

途中に川やアンダーパスがないか。

ここまで含めて考えます。

 

特に大雨が激しくなってからの移動は、道路状況そのものが危険になることがあります。

車があるからいつでも移動できる。

これは災害が進んでいない段階だから成立する考え方です。

道路が使えなくなれば、車は避難手段ではなくその場から動かせない空間になります。

だからこそ、

「危なくなったら場所を変える」

ではなく、

「危なくなる前に安全な場所へ移る」

という時間の考え方が重要になります。

 

車を守ることより「車を離れる判断」を先に決めておく

車中泊避難では、どうしても車を中心に考えます。

車内に防災用品がある。

食料がある。

水がある。

着替えがある。

スマートフォンを充電できる。

寝床もある。

これだけ揃っていると、

「できるだけ車から離れたくない」

という心理が働くかもしれません。

しかし災害時の最優先は車ではありません。

命です。

水が増えてきた。

避難情報が変わった。

周辺道路の状況が悪化した。

自治体から別の場所への避難を求められた。

こうした状況なら、車中泊を続けることそのものを見直す必要があります。

 

特に避けたいのが、

「もう少し様子を見よう」

を繰り返すことです。

車中泊は車内にいるため、外の状況を感じにくいことがあります。

雨音は聞こえていても、水位の変化までは分からない。

暗くて駐車場全体が見えない。

寝ている間に状況が変わる。

ということも考えられます。

だから車中泊防災では、

どんな装備を積むかだけではなく、

「どんな状況になったら車を離れるのか」

も事前に決めておく必要があります。

 

避難先へ歩いて移れるように、

靴。

ライト。

スマートフォン。

最低限の防災用品。

貴重品。

などを、すぐ持ち出せる位置へ置いておく考え方もあります。

車は便利な避難空間です。

しかし、

最後まで車内に残ることが正解とは限りません。

車中泊を選択肢として持つことと、車に固執することは別です。

 

まとめ|災害車中泊では「眠りやすい場所」から選ばない

普段の車中泊と災害時の車中泊では、駐車場所を選ぶ基準が変わります。

普段なら、

広い。

静か。

平ら。

トイレが近い。

という条件を優先できます。

しかし災害時には、その順番を一度崩す必要があります。

最初に見るべきなのは、

その場所から安全に逃げられるか。

状況が悪化したときに別の選択肢へ切り替えられるか。

という部分です。

 

快適に眠れる駐車スペースでも、災害から逃れる場所として適しているとは限りません。

反対に、多少車が傾いていても、自治体が示す安全な場所へ避難する方を優先すべき状況もあります。

防災では、いつもの車中泊の常識がそのまま使えるとは考えない方がいいでしょう。

車を寝室として見るのではなく、

「危険から離れるために一時的に使える道具」

として考える。

そうすると、駐車場選びの基準も変わります。

災害時に探すべきなのは、一晩快適に過ごせる駐車場ではありません。

状況が変わっても、次の行動へ移れる場所です。

-車中泊