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大型テントを避難所代わりに使うなら、本当に何人入れるのか?「○人用」をそのまま信じてはいけない理由

こんな方におすすめ

  • 「8人用」「10人用」と書かれたテントの実際の広さが知りたい人
  • 家族用の避難スペースとしてテントを検討している人
  • 災害時にテントを何張り用意すればよいか考えている人

大型テントの商品ページを見ると、

「6人用」

「8〜10人用」

「12人収容可能」

といった表記をよく見かけます。

そこで、

「10人用なら、災害時にも10人が避難できる」

と考えてしまいがちです。

 

しかし、防災用途として考えるなら、この人数表記をそのまま使うのはおすすめできません。

なぜなら、多くのテントで表示される収容人数は、主に「人が寝られる人数」を基準としているからです。

災害時には寝るだけではありません。

水や食料を置く。

着替えを置く。

防災バッグを置く。

簡易トイレを準備する。

人が出入りする通路も必要です。

場合によっては数日間、その中で生活することになります。

つまり、

「人が横になれる人数」と「避難生活ができる人数」は違います。

今回は、大型テントを避難所代わりに使う場合、本当に何人程度が現実的なのかを考えてみます。

1.まず「○人用」は何を意味しているのか

テントの「○人用」という表示を見ると、その人数で快適に生活できるように感じます。

しかし実際には、

寝袋を並べた場合に何人横になれるか。

という考え方に近い商品も少なくありません。

例えば床面が約3m×3mのテントなら、面積は約9㎡です。

人が横になるだけなら、比較的多くの人数を入れることができます。

しかし、実際の避難生活を想像してみてください。

 

一人につき、

寝具。

リュック。

着替え。

飲料水。

食料。

スマートフォンや充電器。

衛生用品。

こうしたものがあります。

 

4人家族なら、その荷物だけでもかなりの量になります。

さらにテント中央には、人が出入りするためのスペースが必要です。

入口近くまで荷物を置いてしまえば、夜間の移動もしにくくなります。

「入れるかどうか」だけを基準にすると、実際にはかなり窮屈な避難生活になってしまいます。

2.防災用途なら1人3.5㎡という考え方が参考になる

では、どのくらいの広さを目安にすればよいのでしょうか。

現在、内閣府は避難所について、スフィア基準に沿った1人あたり最低3.5㎡の居住スペースを確保するよう示しています。

これは単純に「寝るためだけの面積」ではなく、避難生活の生活環境を考える上での目安です。

例えば単純計算すると、

10.5㎡なら約3人。

14㎡なら約4人。

17.5㎡なら約5人。

21㎡なら約6人。

という計算になります。

 

もちろん、個人が所有するテントにこの数字をそのまま適用しなければならないわけではありません。

しかし、

避難生活には、人一人が寝られる面積よりかなり広い空間が必要

ということを理解するには非常に参考になります。

過去の避難所では1人あたりの面積が非常に狭くなった例もあり、内閣府資料では阪神・淡路大震災直後に

1人1畳以下となり、横になって休むことすら難しい状況があったことも示されています。

防災用テントを考える場合も、「最大何人詰め込めるか」ではなく、「何人なら生活できるか」という視点が重要です。

3.3m×3mのテントなら何人が現実的?

ここから具体的に計算してみます。

例えば、

3m×3m=9㎡

のテントを考えます。

商品によっては5〜6人用などと表示されることがあります。

確かに寝袋を並べるだけなら、その人数が入る可能性はあります。

しかし1人3.5㎡を一つの目安とすると、

9㎡ ÷ 3.5㎡ = 約2.6人

となります。

 

つまり、避難生活として考えるなら、

2人程度なら比較的余裕があり、3人なら荷物配置を工夫する

くらいの感覚になります。

次に、

4m×4m=16㎡

なら、

16㎡ ÷ 3.5㎡ = 約4.6人。

単純計算なら4人程度です。

 

さらに、

5m×5m=25㎡

なら、

25㎡ ÷ 3.5㎡ = 約7.1人。

およそ7人分になります。

商品表示では10人以上入れる大型テントであっても、避難生活として考えると、かなり人数を減らして使うことになります。

この違いを知っておくだけでも、テント選びは大きく変わります。

4.実際には床面積すべてを使えるわけではない

もう一つ重要なのが、

テントの床面積=全部が生活スペースではない

ということです。

例えば床面積が16㎡あっても、16㎡すべてを寝床として使えるわけではありません。

入口があります。

荷物置き場があります。

人が通る通路があります。

場合によっては簡易トイレや着替えスペースを設けることもあります。

 

大型テントなら、中央にポールがある構造もあります。

また壁面が斜めになっているテントでは、床の端まで同じ高さで使えるわけではありません。

つまり、

カタログ上の床面積と、実際に人が使える有効面積は違う

ということです。

特に長期間使うなら、

寝る場所。

荷物置き場。

出入口。

共有スペース。

を分けて考えた方がよいでしょう。

 

例えば4人家族なら、

「4人が寝られるか」

だけではなく、

「4人分の防災バッグと水を置いても寝られるか」

を考えます。

こちらの方が、災害時の現実に近い考え方です。

5.人数によっては1張の巨大テントより複数テントも考える

例えば10人が避難するとします。

その場合、

「10人用大型テントを1張買えばいい」

と考えたくなります。

しかし、必ずしも1張に全員を入れる必要はありません。

例えば、

5人+5人。

4人+6人。

家族単位。

男女別。

というように複数のテントに分ける方法もあります。

これにはメリットがあります。

まずプライバシーを確保しやすくなります。

 

さらに、一つのテントに不具合が出ても、全員の居場所を同時に失うリスクを減らせます。

大型テントは便利ですが、大きくなるほど重量も増えます。

設営人数が必要になることもあります。

風の影響も大きくなります。

 

そのため、

巨大なテント1張が必ずしも最適とは限らない

ということです。

企業や自治会などで防災用テントを準備する場合も、「最大収容人数」だけではなく、設営人数や保管場所、

運搬方法まで含めて考える必要があります。

6.高齢者や子どもがいるなら人数だけでは決められない

避難者全員が健康な大人とは限りません。

高齢者。

乳幼児。

車いす利用者。

体調が悪い人。

こうした人がいる場合、必要なスペースは増えます。

例えば高齢者が床から立ち上がるのが難しければ、簡易ベッドを置くことも考えられます。

ベッドを置けば、その周囲には介助するためのスペースも必要になります。

小さな子どもがいる家庭なら、着替えやおむつ、衛生用品など荷物も増えます。

 

内閣府の避難所レイアウト例でも、高齢者や乳幼児などへの配慮スペースを設ける考え方が示されています。

したがって、

「床面積÷人数」

だけで完璧な答えが出るわけではありません。

誰が使うのか。

どのくらいの期間使うのか。

何を持ち込むのか。

ここまで考えて人数を決める必要があります。

7.「最大人数」「就寝人数」「避難生活人数」を分けて考える

大型テントを選ぶときは、人数を一つだけで考えないことをおすすめします。

例えば、

最大収容人数

緊急時に短時間、人が中に入れる人数。

就寝人数

寝袋などを並べて横になれる人数。

避難生活人数

荷物や通路を確保しながら数日間生活する人数。

この3つを分けます。

仮にメーカーが「10人用」と表示していても、

10人が入る。

8人程度が寝られる。

4〜6人程度なら荷物を置いて生活しやすい。

というケースも考えられます。

 

もちろん具体的な人数はテントの形状やサイズによって変わります。

だからこそ、

「○人用」という数字より床面積を見る

ことが大切です。

縦何m。

横何m。

床面積何㎡。

この数字が分かれば、自分である程度計算できます。

まとめ

大型テントの商品ページに「10人用」と書いてあっても、

10人が快適に避難生活できるとは限りません。

メーカーの人数表示は、寝袋を並べて何人横になれるかを想定している場合があります。

一方、防災用途では、

寝床。

水。

食料。

防災バッグ。

着替え。

人が通るスペース。

場合によっては簡易トイレや簡易ベッド。

まで必要になります。

 

現在の内閣府の避難所の考え方では、スフィア基準を踏まえて1人あたり最低3.5㎡の居住スペース確保が示されています。

個人用テントにその数字をそのまま当てはめる必要はありませんが、防災用テントの収容人数を考える基準としては非常に参考になります。

大型テントを選ぶときには、

「何人入るか」ではなく、「何人なら数日間生活できるか」

を考えてみてください。

そして人数表示よりも、まず床面積を見る。

そこから荷物置き場や通路を差し引く。

さらに高齢者や子どもなど、実際に利用する人に合わせて余裕を取る。

この考え方の方が、防災用品としては現実的です。

 

次回はテントから車へ話を広げます。

「軽自動車1台に防災用品はどこまで積めるのか?」

水、食料、テント、寝具、ポータブル電源などを、重量とスペースの両面から考えていきます。

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