こんな方におすすめ
- 車に防災用品を積んでいる方
- 車中泊や長距離ドライブをする機会が多い方
- モバイルバッテリーやポータブル電源を車内に保管している方
災害への備えとして、自宅だけでなく車にも防災用品を積んでいる方がいるのではないでしょうか。
例えば、飲料水、非常食、懐中電灯、モバイルバッテリー、毛布などです。
地震や大雨によって自宅へ戻れなくなった場合、車内に防災用品があれば役立つ可能性があります。
しかし、ここで注意したい問題があります。
それは、車内が防災用品の保管場所として必ずしも適していないことです。
特に夏場の車内は非常に高温になり、モバイルバッテリーなどの製品に悪影響を及ぼすおそれがあります。
また、食料や飲料水、医薬品などにも適切な保存条件があります。
今回は、車内備蓄のメリットと、積みっぱなしにすると危険なもの、定期的に確認しておきたいポイントについて解説します。
1. 夏の車内は何度まで上がる?防災用品にも影響する高温環境
自動車は、移動するためだけでなく、一時的な休憩や荷物の保管にも利用されます。
そのため、災害への備えとして車内に防災用品を置いておくことは、合理的に思えるかもしれません。
しかし、車内の温度については注意が必要です。
JAFが過去に行った実験では、外気温35℃の炎天下で、対策をしていない車両の車内最高温度が50℃を超える結果となりました。
さらに、ダッシュボードなど直射日光を受けやすい場所では、それ以上の高温になる場合があります。
このような環境に、防災用品を長期間保管するとどうなるでしょうか。
例えば、電子機器の内部部品や電池には、使用・保管できる温度の範囲があります。
その範囲を超えた状態で放置すると、性能が低下したり、故障や事故につながったりする可能性があります。
また、食料や飲料水にも保存上の条件があります。
常温保存可能という表示があっても、炎天下の車内のような高温状態で長期間保管してよいとは限りません。
ここで重要なのは、「車に積んでおけば、いつでも使える」と考えないことです。
災害が発生したときに必要な用品でも、保管環境が悪ければ正常に使用できない可能性があります。
さらに、防災用品の中には、使用期限や保存期限が定められているものもあります。
積み込んだまま何年も確認していない場合、必要なときに使えないという問題も起こり得ます。
車内備蓄では、何を積むかだけでなく、どのような温度環境で保管されるかを考えることが重要です。
2. モバイルバッテリーを車に置きっぱなしにしてはいけない理由
車内の防災用品で特に注意したいのが、モバイルバッテリーです。
災害時にはスマートフォンで情報を確認したり、家族と連絡を取ったりするため、充電手段の確保が重要になります。
そのため、車にモバイルバッテリーを積んでおこうと考える方もいるでしょう。
しかし、多くのモバイルバッテリーにはリチウムイオン電池が使用されています。
リチウムイオン電池は、高温や強い衝撃などによって異常が発生するおそれがあります。
総務省消防庁も、炎天下の車内や直射日光が当たる場所を、リチウムイオン電池の使用・保管で注意すべき環境として挙げています。
例えば、夏場の車内にモバイルバッテリーを置いたまま長期間放置すると、電池の劣化や異常発熱などのリスクがあります。
さらに、製品が膨張している、変形している、異常に熱くなるといった場合には、使用を中止する必要があります。
これはスマートフォンのバッテリーだけでなく、ポータブル電源についても注意したい問題です。
ポータブル電源には、車中泊や防災向けとして販売されている製品があります。
しかし、防災向けの商品だからといって、炎天下の車内で長期間放置してよいわけではありません。
取扱説明書に記載された使用温度や保管温度を守ることが必要です。
私なら、ポータブル電源や大容量モバイルバッテリーは、基本的に室内の適切な場所で保管し、
車で使用する際に持ち出す方法を検討します。
また、持ち出す際には本体が破損しないよう保護し、直射日光を避けることも重要です。
なお、車内で家庭用の携帯発電機を使用することは、一酸化炭素中毒につながるため行ってはいけません。
防災用の電源は、容量や価格だけでなく、安全に保管して必要なときに使えることが重要なのです。
3. 飲料水・非常食・医薬品は車内に保管しても大丈夫?
防災用品として車内へ積みやすいものに、飲料水や非常食があります。
しかし、これらについても保存条件の確認が必要です。
例えば、ペットボトルの飲料水です。
未開封であっても、製品によって適切な保存条件が定められています。
一般的な飲料水では、直射日光や高温になる場所を避けるよう案内されていることがあります。
そのため、夏場の車内へ長期間置きっぱなしにすることはおすすめできません。
また、非常食についても同様です。
長期保存可能な食品であっても、メーカーが想定する保存環境を超えるような高温状態では、
品質が保たれるとは限りません。
例えば、数年間保存できると表示された食品でも、その期間は適切な条件で保存した場合を
前提としていることがあります。
車内で保管する場合には、保存期限だけでなく保存温度も確認しましょう。
さらに注意したいのが、医薬品です。
医薬品には温度や湿度などに関する保管条件があり、高温によって品質に影響が出る場合があります。
特に継続的に使用する薬については、自己判断で車内に置きっぱなしにせず、
薬剤師などに適切な保管方法を確認することが大切です。
また、使い捨てカイロ、スプレー缶、ライターなども、種類によっては高温環境で
危険が生じる場合があります。
防災用品として役立つかどうかと、車内に安全に保管できるかどうかは別の問題です。
一方、車内に置いておきたいものとして、保管温度の問題が比較的小さい用品を検討することはできます。
例えば、救助を求めるためのホイッスル、手袋、簡易的な衛生用品などです。
ただし、これらについても素材や製品の使用条件を確認する必要があります。
車内備蓄では、使えるものをすべて積むのではなく、車内という環境に適した用品を選ぶことが重要です。
4. 災害時に使える車内防災セットはどう管理する?
車内備蓄を考える際、私が重視したいのは、車に常備するものと、自宅で保管して必要なときに
持ち出すものを分けることです。
例えば、モバイルバッテリーやポータブル電源、温度管理が必要な医薬品などは、適切な室内環境で
保管することを基本に考えます。
一方、車内に常備する用品は、温度変化に比較的強く、いざというときに取り出しやすいものを中心に検討します。
ここでも大切なのは、防災用品をトランクの奥に詰め込むだけで終わらせないことです。
例えば、事故でドアが開かなくなった場合に使用する緊急脱出用品などは、運転席から安全に取り出せる
場所に配置する必要があります。
ただし、緊急脱出用品については、使用する車の窓ガラスの種類に対応しているか確認することも重要です。
また、車内で使う懐中電灯などは、定期的に動作確認をしておきます。
電池の液漏れや、充電池の劣化などがないかも確認するとよいでしょう。
さらに、防災用品を点検する日を決めておく方法もあります。
例えば、季節が変わるタイミングや車の定期点検に合わせて、積載用品を確認します。
その際には、使用期限や保存状態だけでなく、実際に必要なものがそろっているかを見直します。
また、車に荷物を積む場合には、運転中の安全にも配慮する必要があります。
荷物が急ブレーキの際に飛び出したり、運転席の足元へ転がったりしないよう、適切に固定・収納することが重要です。
そして、災害が発生した際には、車で避難することが必ずしも安全とは限りません。
浸水や土砂災害、道路の損傷、渋滞などの危険があるため、自治体の避難情報や周囲の状況に従って行動する必要があります。
車内防災の目的は、車に多くのものを積むことではありません。必要な用品を、安全に使える状態で管理することです。
まとめ
災害への備えとして、車内に防災用品を用意することは役立つ場合があります。
しかし、車内は夏場に非常に高温になるため、すべての防災用品の保管に適しているわけではありません。
特にモバイルバッテリーやポータブル電源、飲料水、非常食、医薬品などは、製品の保存条件を確認する必要があります。
また、使用期限や動作状況を定期的に確認することも重要です。
防災用品は、持っているだけでは意味がありません。災害が発生したときに安全に使用できる状態を保つことが、
本当の備えにつながります。