避難方法

マンションは地震に強くても「生活できる」とは限らない|停電した高層階の現実

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こんな方におすすめ

  • 高層マンションやタワーマンションに住んでいる人
  • マンションは地震に強いから自宅にいれば安心だと思っている人
  • 停電した高層階での生活を具体的に考えたことがない人

地震に備えて住居を考えるとき、

「戸建てよりマンションの方が安心」

「新しい高層マンションなら建物は丈夫だろう」

と考えることがあります。

確かに、マンションは一般的に堅牢な構造を持つ建物です。

大きな地震が発生しても、建物そのものには重大な損傷がなく、そのまま自宅に残れるケースもあります。

ただし、

建物が無事であること。

そこで普通の生活を続けられること。

この二つは同じではありません。

例えば20階に住んでいて、

停電した。

エレベーターが止まった。

水が出なくなった。

という状況を想像してみます。

 

部屋そのものは無事です。

家具もそれほど倒れていない。

玄関も開く。

それでも20階まで階段で上り下りしなければならなくなったら、生活は一気に変わります。

1階まで水を取りに行く。

食料を受け取りに行く。

ゴミを持って下りる。

再び20階まで戻る。

これを毎日繰り返す可能性があります。

高層マンションの防災では、

「建物が倒れるか」

だけを考えるのでは足りません。

むしろ建物が無事だった後、

そこで数日間生活を続けられるのか。

ここまで考えておく必要があります。

今回は、停電した高層マンションで起こり得る「生活の停止」について考えます。

 

建物が無事でもライフラインが止まれば生活は一変する

地震後にマンションを外から見て、

大きなひび割れもない。

建物も傾いていない。

火災も発生していない。

となれば、

「自宅にいれば大丈夫」

と思うかもしれません。

しかしマンションの生活は、建物だけで成立しているわけではありません。

電気。

水道。

エレベーター。

給水ポンプ。

通信。

こうした設備が組み合わさって、普段の生活が成立しています。

そのため停電すると、一つの設備だけではなく複数の機能に影響が出る可能性があります。

 

東京都も、マンションは建物自体が損傷していなくても、停電や断水、エレベーター停止によって

自宅での生活継続が難しくなる場合があるとしています。

ここが戸建てとは違うマンション防災の特徴です。

例えば水道管そのものが無事でも、建物の給水方式によっては電気を使うポンプが停止し、

高層階まで水を供給できなくなることがあります。

停電だけを見ると、

「電気がつかないだけ」

に感じます。

 

しかし実際には、

照明が消える。

エレベーターが使えない。

水が使いにくくなる。

スマートフォンを充電できない。

共用部も暗くなる。

といった問題が同時に発生する可能性があります。

さらに地震後は設備点検が必要となり、電気が復旧してもエレベーターがすぐ通常運転へ戻るとは限りません。

つまりマンション防災では、

「建物が壊れなかったから災害は終わり」

ではありません。

そこから、

ライフラインがない状態でどう暮らすか

という第二段階が始まります。

 

20階の住人にとって「1階へ行く」こと自体が作業になる

普段なら、

玄関を出る。

エレベーターに乗る。

1階へ着く。

数分もかかりません。

ところがエレベーターが止まれば、この当たり前がなくなります。

例えば20階に住んでいる場合、

水を取りに行く。

支援物資を受け取る。

建物の掲示板を見る。

管理人から情報を聞く。

外の様子を確認する。

こうしたことをするたびに階段を使います。

行きは下りなので、それほど大変ではないかもしれません。

問題は帰りです。

水を数リットル持って20階まで上がる。

食料も持つ。

季節によっては暑い。

停電していれば階段が暗い場所もある。

一度ならできても、これが毎日となると負担は大きくなります。

 

さらに家族全員が自由に階段を使えるとは限りません。

高齢者。

小さな子ども。

妊娠中の人。

足腰に不安がある人。

体調を崩している人。

こうした家族がいる場合、エレベーター停止は単なる「不便」では済まなくなります。

だから高層階では、

災害が起きてから1階へ物資を取りに行けばいい

という考え方だけに頼らない方がいいでしょう。

水。

食料。

携帯トイレ。

常用している日用品。

モバイルバッテリー。

ライト。

こうしたものを最初から自宅内に置いておけば、階段を使う回数そのものを減らせます。

マンション高層階の備蓄では、

「救援物資が来るまで食べる物があるか」

だけでなく、

「物資が1階に来ても取りに行けない可能性」

まで考えておく必要があります。

 

断水すると「水を運ぶ」だけではなくトイレ問題も始まる

停電や地震後のマンションで大きな問題になるのが水です。

飲料水だけなら、ペットボトルを備蓄できます。

しかし生活では、それ以外にも水を使います。

手洗い。

歯磨き。

調理。

身体を拭く。

そしてトイレ。

特に高層階で給水が止まると、

「1階まで水を取りに行けばいい」

と簡単には考えられません。

 

例えば2リットルのペットボトルを6本持てば12kgです。

それを持って10階、20階、30階へ階段で上がる。

一度ならともかく、何日も続けばかなりの重労働です。

さらに地震後は、

水さえ確保できれば便器へ流していい

とも限りません。

建物内部の排水管が損傷している場合、上階から流した汚水が正常に排出されず、

別の階で問題を起こす可能性があります。

そのため地震直後は、管理組合や管理会社などから排水設備の安全確認が取れるまで、

安易に大量の水を流さない方がよい場合があります。

ここでも携帯トイレが重要になります。

便器そのものが壊れていなければ、

便器に袋を設置する。

用を足す。

凝固剤などで処理する。

という方法で下水へ流さずに使用できます。

 

高層マンションでは、

飲料水の備蓄。

生活用水。

携帯トイレ。

この三つを分けて考えておきたいところです。

特にトイレは毎日何度も使用します。

家族4人なら、数日間だけでもかなりの回数になります。

「マンションだから水が止まってもすぐ復旧するだろう」

ではなく、

数日間水が使えなくても自宅で生活できるか

を一度考えてみる必要があります。

 

高層階では「備蓄をどこに置くか」まで重要になる

防災備蓄をしていても、

マンションの共用倉庫。

地下駐車場。

車。

トランクルーム。

などに大半を置いている場合があります。

もちろん分散備蓄自体は有効です。

ただし高層階の在宅避難では、

自宅の中に何があるか

も非常に重要です。

例えば20階に住んでいて、エレベーターが停止した。

水は車の中に24リットルある。

非常食も地下のトランクルームにある。

防災用品も駐車場の車に積んでいる。

これでは備蓄は存在していても、使うたびに階段を往復しなければなりません。

 

そこで高層マンションでは、

「建物内に備蓄がある」

だけではなく、

「部屋から出なくても何日か過ごせる」

状態を作ることが重要になります。

例えば、

水。

常温で食べられる食品。

携帯トイレ。

トイレットペーパー。

ライト。

モバイルバッテリー。

常用薬。

衛生用品。

最低限の現金。

こうしたものは自宅にも置いておく。

 

さらに玄関付近など、取り出しやすい場所へ一部をまとめておく方法もあります。

地震で家具が倒れれば、収納扉が開かなくなることも考えられます。

備蓄そのものがあっても、

取り出せない。

持って上がれない。

場所を家族が知らない。

では実際の災害時に使いにくくなります。

マンション防災では量だけでなく、

災害後にその備蓄へアクセスできるか

まで考える必要があります。

 

自分のマンションが「停電したらどうなるか」を平常時に確認する

同じ高層マンションでも、防災設備はすべて同じではありません。

非常用電源がある。

停電時にも一定時間、給水設備を動かせる。

一部のエレベーターを動かせる。

防災倉庫がある。

非常用トイレがある。

各階に備蓄がある。

こうした対策をしている建物もあります。

一方で、

非常用電源はどこまで使えるのか。

何時間動くのか。

エレベーターに使えるのか。

給水ポンプに使えるのか。

住民が知らないケースもあるでしょう。

東京都では、停電時にも水の供給や一定のエレベーター運転に必要な非常用電源、防災備蓄などを備えるマンションを評価する

「東京とどまるマンション」の仕組みも進めています。

 

ここから分かるのは、

「マンションだから大丈夫」

ではなく、

マンションごとに災害後の生活継続能力が違う

ということです。

そこで平常時に、

非常用電源はあるか。

停電すると水はどうなるか。

エレベーターはどのように停止するか。

復旧までどのような確認が必要か。

防災備蓄はどこにあるか。

管理組合の防災マニュアルはあるか。

避難場所はどこか。

こうしたことを一度確認しておきます。

 

さらに一度、

自宅から1階まで階段で歩いてみる

のも有効です。

普段エレベーターしか使っていないと、非常階段の入口すらよく分からないことがあります。

何階まで下りたのか。

途中に休める場所はあるか。

夜でも通れそうか。

家族全員がこの階段を使えるか。

実際に歩くと、高層階でエレベーターが止まる意味がかなり具体的になります。

マンション防災で必要なのは、設備表を見ることだけではありません。

「この建物で停電したら自分の生活はどう変わるのか」

まで想像しておくことです。

 

まとめ|高層マンション防災では「倒れない建物」の次を考える

高層マンションの安心感は、建物の強さだけから生まれるものではありません。

本当に問われるのは、大きな揺れが収まった後です。

部屋に残れる。

しかし電気がない。

水がない。

エレベーターも使えない。

その状態で数日を過ごせるのか。

ここまで準備できて初めて、在宅避難という選択肢が現実的になります。

高層階だから危険だと単純に考える必要はありません。

一方で、

「頑丈なマンションだから何とかなる」

とも考えない方がいいでしょう。

建物の防災設備を知る。

必要な物を室内に置く。

階段を実際に確認する。

家族の移動能力を考える。

水やトイレを数日分用意する。

 

こうした準備があれば、停電したときに初めて問題を知ることを減らせます。

災害後のマンションで最も大きく変わるのは、建物の形ではありません。

普段エレベーターや電気、水道によって数分で済んでいた生活が、突然すべて人の手と足に戻ることです。

20階の部屋そのものが安全でも、

毎日20階を上り下りしなければ生活できないのであれば、その負担まで防災計画に入れておく必要があります。

高層マンションの防災では、

「この建物は地震に耐えられるか」

の次に、

「ライフラインが止まっても、ここで暮らし続けられるか」

を考えておきたいところです。

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